GRA 公式ブログ

NPO法人GRA ( http://gra-npo.org ) ,オートバイにいつまでも楽しく安全に乗れる環境作りと人材育成を目標にしている NPO法人:GRAのブログです

9/20 『 整備・セッティング セミナー 』 リポート (その1)

  
今日のテーマは、『 ダンパーのセッティング 』で、「 ダンパーって何? 」という事から、どんな役割をしているか、という話です。
   

『 ダンパーって、何? 』

ダンパーは、どんなオートバイにも付いていて、とても大切な役割を担っているのに、あまり大切に思われていない可哀想な存在です。
誤解されているのは、衝撃緩衝装置と思われ、英語の ショックアブソーバー (Shock Absorber)だと思われているけど、衝撃緩衝の役割は スプリングが担っていて、ダンパーは制振装置、つまり、振動を止める、減衰させる装置である事の説明から始めました。( 制振装置だと理解する事が、ここでは一番大切 )

話の本番はここからです。
制振装置という事は理解してもらえても、最適な強さの調整は? どうやってするのか? 最適な 調整の強さだどうやって見つけるのか?
理解するのか? という話に移ってきます。

本当なら、ダンパーが無い場合の タイヤ(ホイール)が振動する様子をグラフに描き、ダンパーが働らいて、その振動が収束するイメージをグラフに重ねて描く予定でした。

振動を収めると言っても、様々な収束の仕方(収斂)がある中で、一番、タイヤと路面に優しく(接地荷重が抜けず)、人間(ライダー)にとって自然に感じられるグラフを一緒に考えてみるのが セミナーの目的であり、目標でした。

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『 セミナー来場者からの質問 』

しかし、来場者の質問や要望に、きめ細かく対応するのもセミナーの大きな目的。

質問があり、それは「深いバンク角で走行している時、フロントタイヤが重く感じるのですが・・・」、「そんな時、バンクしたままでアクセルを開けると、フロントタイヤの荷重が大きく抜ける感じがしたのですが ・・」 という内容でした。

その方は、リアサスペンション周りのセッティング変更を視野に入れているとの事でしたが、僕は「フロントが重い」という点が気になり、その時の車両の様子や バンクさせたままフロントブレーキを掛けるとどんな具合になるかなど色々と質問した結果、フロント周りに原因があるかも知れない事を伝えました。
 


『 フロントタイヤが抱える事情と悩み 』

その内容は、「深くバンクさせている時には、フロントタイヤは直立付近と較べて、切れ込まなくなる事」、「旋回中のタイヤには、バンクさせた方向へとタイヤの向きを変えようとする力(モーメント)と、タイヤが向いている方向へと進ませようとする要素(ジオメトリー /トレール)がある事」を丁寧に図を描きながら説明して、その二つの要素のバランスが大切だと説明をして、ある程度は理解してもらえた様子でした。

その後で、「表れている症状は、タイヤの向きを変えようとする力に較べて、トレール量が少なくなり過ぎている可能性がある事」と、「深くバンクさせているので切れ込ぬ事は無いけど、タイヤの接地面には大きく捻じれる様な力が働いている可能性がある事」、だから、「フロントタイヤが重く感じ、アクセルを開ければ 捻じれが取れる代償として、荷重が抜けやすくなる事」、更に「深くバンクさせている蔡に フロントゴレーキを掛けると不安定になる事」など、起きている現象と、オートバイのタイヤに働いている様々な力とバランス要素について、これも 図を描きながら、一つひとつ説明をして、一度 フロント周りの状態(残ストローク量など)の確認を勧めました。

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『 オートバイの立場で、シンプルに考える 』

その方は、機械工学や物理学にも理解のある方でしたから、一つひとつの説明には ある程度理解を示してくれましたが、説明した様な内容は、説明している講師にとっては ずっと以前から実践している当たり前の事でも、初めて耳にするような言葉や考え方だった様子でした。
 
そこで、色々な考え方があって良い事を伝えた後で、車両に起きている現象を より少ない要素(言葉)と簡単な力のバランスだけで解き明かす事が大切だと伝えました。
オートバイに働いている力の一つひとつを簡単で正確にとらえて翻訳する事が大切で、人間の感覚だけでオートバイを理解するのは避けた方が良いというアドバイスも加えてしまいました。




『 セミナーの効果と素晴らしさ 』
 

19時以降もダンパーの解説を予定していました、が、そんなセミナー来場者の質問があったので、そちらの話題で意見交換や一緒に現象の理由を考えて、セミナー後半はターン中のフロントタイヤに掛かる力(モーメント)とトレール量と「方向安定性」の勉強時間になりました。

でも、今回も色々と新しい刺激を受けましたし、理解度を確認しながら解説の内容や進め方を変えた経験は、きっと、Webサイトでの解説記事の進め方や構成に良い影響を与えてくれたでしょう。
そういう意味で、関心を持って下さる方は、例えセミナーに参加できなくても、今後のWebサイトでの解説記事にはセミナー開催の恩恵が含まれていると信じて、是非、ご期待下さい。

ホントに、ただの講習会とは違って、来場者の質問や提案に合わせ、一緒に理解度を確認しながら、とても丁寧に進む勉強会は、大きな収穫があります。




『 まずは、動画リポートから 』

という訳で、今回の 『 整備・セッティング  セミナー 』で ダンパーについて解説した事や解説しようとした事については、後日、公式Webサイトの【 オートバイの基本講座 】で解説する予定ですから、是非、お待ちしください。

また、バンク中に “ フロントタイヤ ” に掛かる力と、それらの力をバランスさせるセッティングに必要な事柄などについても、同じく【 オートバイの基本講座 】で解説をするので、関心の無い人は別、関心や興味のある人は、必ず 楽しみに期待しておいてください。

今日は、先ず、当日の 19時までに行なった 解説を動画に納めているので、そちらもな ご覧ください。
では、また、これからも オートバイの大切な事、知られていない事情など、発信していきますので、また会いましょう。
 

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【 動画リポート 】
http://gra-npo.org/picture/movie/video/2019_video.html#20190920