5. リアサスペンション、プリロード調整の基本は “膝” と同じ
リアサスペンションのプリロード調整の基本的な考え方は、私達がスポーツをする時の“膝”の曲げ方と同じなのです。
例えば、スキーで雪面を滑る場合や、バレーや野球などでボールを受ける準備の姿勢を想像してみてください。そんな時の“膝”は、雪面の凸凹や次の動作に備えて、図6 の様に“ 約 1/3 曲げておく ”のが基本です。
膝を 約 1/3 だけ曲げておくと、凸凹への対応や次のとっさの動作への備えになり、膝を伸ばしたり折り曲げる方向への動きにスムーズに対応できるのです。
実は、この膝と同じ事が、オートバイのリアサスペンションの場合にも当てはまるのです。
つまり、オートバイが走行している時に、路面の凸凹や次のライダーの操作(加速や減速、ターンなど)に備えて、オートバイの“膝”(リアサスペンションが相当)は 1/3 曲げて(沈み込ませて)おくのが基本なのです。
ただし、同じオートバイでも、乗る人の体重や荷物の重さによって、オートバイの“膝”(リアサスペンション)の曲がり方(沈み方)は異なります。
そのため、前もってライダーの体重などに合わせて、1/3の 曲がり(沈み込み)になるようにリアサスペンションを調整しておく事が大切なのです。
そして、この作業が「プリロード調整」なのです。
では、この調整を行なっていないとどうなるのでしょうか?
それは、スキーなどスポーツの場面に置き換えてみればわかると思います。
膝が伸びていたり大きく曲がった状態のままでは、次の動作への対応が難しく、そんな状態のままではスポーツの上達も難しいですね。
オートバイの場合でも同じです。
正しく「プリロード調整」を行なっておくと、路面に凸凹があってもオートバイは安定したままで、ライダーが操作した通りに走るようになるので、安心して気持ち良く走れて自然に上達するものです。
しかし、「プリロード調整」が正しくされていないと、オートバイの動きが不安定になったりライダーの操作した通りにならない事が多く、時には危険な状態になる事もあるほどなのです。
繰り返しになりますが、「プリロード調整」はそれ程に大切な調整です。
だから、ほとんどのオートバイには、ライダーの体重などに合わせて「プリロード調整」が出来るようになっているのです。
さあ、「プリロード調整」の大切さは理解できたでしょうか。
では、次章で「プリロード調整」で “ 1/3 ”に合わせる方法を説明しますね。
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