フランスを始めとした欧州各国で急激な感染拡大の原因と言われる “変異株” ですが、それと同時期の 2月初旬、グラフの赤色線で示した治療中患者数の変動傾向からも明らかな様に、日本でも “変異株” による感染拡大がはっきりと出ています。そして、現在も感染の急拡大の波から逃れられていません。
グラフの青色線は、新たに感染者として確認された人数の変動を表していて、メディアが報道する新規感染者数の変動の様子そのものです。が、実際に問題となるのは、治療中の方の人数の変動ですから、赤色線の変動の仕方の方がずっと重要です。
例えば 昨年11月下旬、“変異株” による影響が限定的で、各医療機関の方々の尽力のお蔭で治療中の方の人数の増加が抑えられて、それは 青色線との間隔が開いている事からも判ります。そして、遅れて発出された第2回目の緊急事態宣言の効果から、1月中旬から 青色線も赤色線も一気に右下下がりになり、状況が好転している事を示しています。
しかし、今回の 第3回目の 緊急事態宣言で同様な抑制効果が発揮できるかは、このグラフを見る限りでは、疑問が残ります。というのも、3月下旬以降、青色線と赤色線との間隔は狭く、治療中の患者数を抑え切れていな状態での緊急事態宣言だからです。
第2回目の緊急事態宣言が出される前には、医療機関では一定以上の余力があったのですが、今回のは 余力が無い状態のままでの緊急事態宣言である事をグラフは示しており、今後の経過は前回と同様なグラフを描かないだろうという推測ができるのです。
既に、各方面からも指摘されている通り、この感染症に対する日本の医療体制は脆弱です。世界各国との比較をすれば、フランスを始めとする欧州各国の【感染密度】は、ロックダウンなど行動規制を行なった上で 今の日本の【感染密度】の 4倍ですが、そんな状態で 2ヶ月近く継続させた上で、ワクチン接種を並行して行なっている現状を見るだけでも明らかです。
世界各国との比較において、ワクチン接種開始の遅れと接種数の少なさについて、政府トップは「ワクチン認可には国内治験が必要」とか「接種業務には筋肉注射経験のある医療免許取得者に限る」ためだと説明していますが、「国民の命を守るため、緊急事態です」という言葉と大きな矛盾を感じる人も少なくないでしょう。
何故なら、ワクチン認可に必要な日数や、接種業務が可能な現役の人の人数は 一年以上前から分かっている事だからです。仮に、「一人の命でも多く守るため」という意志が真実ならば、国会と国民に事情を説明して、緊急事態に合わせた特例措置法として立法を図る事も可能だった筈ですが、一切、その動きが見えなかったからです。( 首相官邸 発SNS も同様ですが ・・)
或いは、完全に出遅れた PCR検査の検査可能数を一気に増やして、個人が希望すれば気軽に様々な場所で検査を受けられる様にする事で、一人ひとりの 感染に対する意識を高めて、無自覚な感染者を減らす事も可能だったでしょう。
仮に、PCR検査自体が複雑なシステムと試薬が必要な為に数量を増やせないのなら、昨年中期には世界各国で広く流通していた、抗原検査 または 抗体検査 の一般導入も可能だった筈です。 が、医療業務を担当している 医学界からの要望に合わせて、希望すれば誰もが病院を通して自身の健康を確認できる体制を作れた筈ですが、それも行なわれていません。
PCR検査の充実や医療機関と政府行政との間で一体的に対応が進められないならば、せめて、全国の人口密集地域での下水PCR検査と、それと並行して “変異株” 検査を行なう体制を整えていれば、感染拡大となる以前に兆候が確認できて、現在よりも素早い対応を採れるのは間違いありません。
しかし、懸案の “変異株” 検査については 自治体依存で、1月頃には検体数も多く検査を行ない、その結果をすぐに公開している自治体が称賛に値します。 検体数が少なくて報告様式も異なる自治体との結果を同じテーブルの上で評価している現状では、“変異株” の状況を正確に把握できる筈はない事は明白な事ですから、本来であれば 国家行政が担うべき業務であり責任だと思います。
最後に、『 感染対策省(庁)』の設立を求める提案をします。それは、新型コロナウイルス禍に関する 政府担当者の方が多過ぎて、所属や役職も異なり、どの方の言葉を主体に受け留めればよいか全く分からない人が多数だと確信できるからです。
本来ならば、厚生労働省の業務だと考えるのが普通だと思いますが、昨年前半の反省があるのか、内容によっては 総務省が、そして 経済復興大臣職の人が、更には ワクチン担当の大臣がと、まるでバラバラにメッセージが出されている状態だから、理解し難くて、医療の状況や感染の深刻な状況などの理解が浅く、感染抑制の妨げになっていると確信しています。また、こういう時期、[ こども庁 ]設立法案を提出する動きをしている与党であれば、それに先行して 『 感染対策省(庁)』の設立法案を提出される方が、よっぽど納得する国民も多いでしょう。
どちらにしても、相手はウイルスですから 今後の事ははっきり見えてきません。更には、更に新しい “変異株” は 確実に生まれて流行しますし、現行のワクチンがどこまで効果を発揮できるかも不明ですが、小さな事から早目はやめに行動へ移しくいく事に意識を集めていきましょう。
出典 : 厚生労働省
#COVID19
ページ中の画像は クリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています 文章等は許可無く転載することを禁じます / Copyright GRA All Rights Reserved. |