『 対策が無いままに 』
昨年・2020年 9月、東京都の GoTo トラベル解除以降、それまで 減少を続けていた 新規感染者数と治療中患者数が一気に増加した “第三波” 。そして、2月には欧米を始めとする諸外国で “変異株” が原因と見られる感染拡大を確認しながら、国による有効な防疫対策や “変異株” の検査体制が採られないままに迎えた “第四波” の感染拡大です。
英国を始めとする諸外国の研究機関の発表により、イギリス型と言われる “変異株” が高い感染率と重症化率になる事が懸念されていたにも関わらず、“変異株” に関する 行政責任者からの詳細な発表はなく、国が率先して “変異株” の検査体制を整える事はなく、懸念される医療機関への負担への有効な対策を支援がなされないままに、“第四波” によって多くの人々が命を落とした事には心が痛みます。
『 グラフだけを見れば 』
グラフだけを見れば、青色線が示す「新規感染者数の増減数」は前週の最悪値から少し減少して、赤色線が示す「治療者数の増減数」はようやく減少した事を示しており、多くの人はまるでピークを超えたかの様に誤解するでしょう。しかし、それは人の健康や命を行方を見ていない、短絡的な視点によるものだと言えます。
感染症対策で最も大切な事は、人の健康と命を守る事であり、その為に新規感染者を減らす事が最初に必要なだけです。そして、今回は “変異株” が原因と思われる感染拡大が、医療体制が東京など大都市ほど整っていないと思われる全国各地で発生している事が最大の懸念事項です。
直近の一週間で亡くなった人は 787名 と最多を記録し、重症者数も 1300名を超えて最多の人々が命の瀬戸際状態に置かれている事は決して忘れてはいけません。 しかも、北海道や沖縄など、全国各地で更に感染拡大が起きている現状を見れば、その方々の命を救う為に、各都道府県の医療機関に任せるのではなく、“緊急事態” として東京などから医師を派遣する事も検討するべき段階に入っていると思います。
『 介護施設での命を守る為に 』
“第四波” の初期段階で感染拡大を記録した大阪府と兵庫県では、介護施設でクラスターが発生した為に、それぞれ合計100名を超える数多くの方々が亡くなっています。
その大きな原因は、それらの施設で感染者が確認された後の医療機関などの対応によるものと思われます。施設の利用者の多くは認知症がみられる高齢者も多く、マスク着用や出入り禁止区域などの徹底が出来ず、職員を含めて施設内の多くの方が感染したと報告されています。
そして、更に被害を深刻にしたのは、医療機関が要介護者など人手が多く必要な患者の入院を受けられる状況でない程に追い込まれていた事です。その為、充分な防疫対策知識が無く、訓練も受けていない職員による重症感染者への対応が求められて、結果として充分な医療スタッフと医療的処置がないままに多くの方が亡くなっているのです。
既に、感染拡大の波は全国各地へと移っていますので、介護施設か、介護施設を含む地域全体での下水PCR検査などの 検査を行ない、感染の始まりを可能な限り早期に検知する対策を行なうべきでしょう。
そして、感染発生が確認された施設で、24時間対応する 医者や看護師などの医療スタッフが不足しているならば、国が主導的に 医療スタッフの派遣を行なうべきです。
『 次の “感染波” に備えて 』
国はワクチン接種率を高める事で感染者数を減らす事を目標としていますが、実際には、ワクチン接種数や接種率だけでは新規感染者数を減らす事に繋がり難く、英国やイスラエルでも ワクチン接種率が高まる以前に新規感染者数の減少傾向が始まっていて、接種率を一気に高めた後で観光客を迎えた観光立国・モルディブやセーシェルなどでは、政府が想定しなかった程の世界最高レベルの感染爆発に見舞われているのです。
ですから、ワクチン接種数や接種率を高める対策とは別に、ウイルスや感染そのものの動向を出来る限り早く正確に把握する事です。
例えば、全国主要な 100都市での “下水PCR検査” や、主要都市などでの “無料PCR検査体制” を定期的に開催を続けたり、唾液などによる “抗体検査” キットを 10億個レベルでの手配などを行なうべきでしょう。
更に、国による “大規模接種会場” を 東京と大阪 などの大都市だけで行なうのではなく、医療体制が不足気味な地方都市などで開催する事も必要でしょう。 更には、一気に感染拡大を起こした都道府県に対して、防衛省の医療スタッフを派遣する事も併せて準備しておくべきでしょう。
出典 : 厚生労働省
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