GRA 公式ブログ

NPO法人GRA ( https://gra-npo.org ),オートバイにいつまでも楽しく安全に乗れる環境作りと    人材育成を目標にしている NPO法人:GRAのブログです

前後の車高バランス調整(2)と フロント車高の測定 / オートバイとライダーのための “ クリニック ” より

  
『 車高バランスが左右する旋回(コーナリング) 』

オートバイにとって、前後のタイヤが一緒に旋回を始める事がとても大切です。しかし、多くのライダーは、自然にそうなっていると勝手に思い込み、前後のタイヤの旋回の “ ズレ ” の存在を知らず、意識もしていません。しかし、旋回の “ ズレ ” は、タイヤの適切な性能発揮を妨げて、オートバイの安全性をスポイルして、ライダーに不安感を与える原因になっています。

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前後のタイヤを一緒に旋回を始めさせるには、安全を確保された平滑なエリアで、低速、ノーブレーキ走行で、バンクを開始した瞬間で確認する「 前後の車高バランス調整 」が必要です。そして、簡単なセクションを使い、ノーブレーキで行なうからこそ、ライダー本人だけでなく周囲の人にもはっきりと違いが確認できるのです。
しかし、確認に使うエリアの安全性が無かったり、複雑なコースセクションでの走行や、ブレーキを使った確認走行では、調整以外の要素が多過ぎて正しく判断できません。また、同じ車両でも、ライダーが異なれば、当然、異なる判断結果になる事は忘れてはいけません。
  
そして、実際の道路を走行する状況を想定するならば、バンク時の旋回やブレーキで増すフロント荷重や路面凹凸による、フロント(ステアリング)の自動操舵が加わる事を考慮して、低荷重走行でノーブレーキで行なう「前後車高バランス調整」では、バランス点よりもフロント車高を 0.5~1.0mm 低くする調整がお勧めです。




『 フロント車高(乗車時 / 1G’時)の測定と重要性 』

前後の車高バランス調整は、0.5mm の違いでバランスが変化する程に緻密な調整で、オートバイ全体の操縦性や安定性を左右する大きな要素ですから、調整で求めたフロントの車高は、乗車時状態で、フロントフォークのストローク位置とフォーク固定位置を測定して記録しておく事がとても大切です。

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そして、フロントフォークを分解整備した場合は当然の事、プリロード量やスプリング、油面高さ等を変更した場合も、必ず前後車高バランス調整で求めた車高(乗車時)に合せる事が基本です。もし、その作業を行なわず、フロント車高を適正な値に調整をしなければ、旋回時の車両バランスが崩れrますし、スプリングや油面高さを変更した場合の適正な評価も不可能になります。




ストローク時のフロント車高について 』

バンク開始時の前後タイヤの旋回同調をとる車高バランス調整を行なった後は、フロントサスペンション(フォーク)がストロークした時の、フロントタイヤに働く方向安定性(タイヤの向きに進もうとする要素)と旋回モーメント(フロントタイヤを旋回方向へとする要素)とのバランスをとる作業が重要です。そして、このバランスが欠けた車両では、「 旋回時は不安定で怖い 」とか「 思った様には曲がらない 」などの不安定な状態になっているのが一般的です。
  
この旋回時(ストローク時)の旋回バランスについては、別途、改めて別コラムで解説をしますので、いつまでも、楽しく、安全なオートバイライフを追及したい人は、是非、ご期待ください。

 








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