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ホンダ、新規申請特許を読み解く(10/11/2023)

Cycle World Magazine 発
( source : Cycle World Magazine  )
   



ホンダが新たに申請した特許では、オートバイ本来の操縦性に逆らわない、ライダーにとって受け入れやすい特性を狙っている様です。< 画像は、2017年、自立&自律走行を狙った試作車で、ライダーの感性や操作に逆らう可能性が高く、私自身、全く受け入れられない車両で、今回の申請とは無関係です>

  
   ** 概要 **  


オートバイ本来の運動特性とライダーの感性や操作を邪魔しないシステムとして、今回新たに申請されたシステムの特徴は、車体中央部と前輪ハブ(中心部)に配置された 3つのモーターです。
    


車体中央部に配置された 2つのモーターは、車体の左右に1つずつ、モーター回転軸を進行方向に配置して、それぞれのモーターから後方へ伸びる ドライブシャフトで後輪を駆動します。この時、ドライブギアの特性として自然な事ですが、左右のモーターはそれぞれ逆の方向へ回転させます。そしてここがポイントですが、左右のモーターの駆動力(トルク/電流で制御)の ‘反力’ を利用して車体の制御を狙っています。つまり、左右のモーターの駆動力に ‘差’ をつける事で、コーナリング開始時にはバンク・傾斜を補助して、コーナーから脱出時には車体を起こす様に補助を行なう事を狙っています。当然、左右に ‘差’ を付けず、‘補助’ を行なわない事も可能なシステムです。


    

もう一つの前輪ハブに装着されるモーターは、記事の解説によれば、加速時に前輪が浮き上がるのを制御する働きを狙っている様です。つまり、これもモーター駆動による ‘反力’ を利用していますが、仮に前輪が路面から離れた場合、前輪を逆方向へと回転させる、或いは逆方向への回転駆動力を掛ける事で、車体前部を路面方向へ向ける ‘反力’(モーメント)を与え、前輪の路面接地を助けるシステムの様です。
     

   ** 考察 **  
   

今回申請された内容には大きな関心を抱いています。それは、今回の申請は車両メーカーとして「完全自律走行」(自動運転)を目指した一段階だと思いますし、車体中央部に配置するモーター駆動は無駄が多過ぎますが、その一方で、2017年発表のコンセプトとは異なり、オートバイ本来の運動特性に逆らわず、ライダーの操作を助ける意図が汲み取れるからです。
  
そして、前輪ハブに内臓されるモーターには大いに関心があります。今回の申請内容には含まれていない様ですが、前輪も駆動する事により、四輪駆動車(自動車)の操縦特性がモータースポーツを通じて劇的に進化したのと同様に、前後両輪駆動はオートバイの新たな可能性を開くと強く信じているからです。その意味でも ‘全輪’ 駆動の電動車に大きな期待を抱いています。

 


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