新しく始めたイベント企画・『 自由練習会 』は順調に結果を残してきましたが、12月31日開催のイベントでは、当イベントでは初めて初参加者の参加がありました。
そこでは、初参加者と常連参加者との間で、お互いに色々な戸惑いが生まれつつ、一つひとつクリアした様子を報告します。
【 初参加者が、大きな戸惑い 】
自由練習会は、その名の通り、参加者各自で練習やセッティングなどのテーマを決め、その事に各自が専念するイベント企画で、今回が 3回目の開催でしたが、一番のトピックが “ 初参加者の参加 ”でした。
なぜ? 初参加者が話題(トピック)かと言えば、決して初参加者が珍しい訳ではなく、自由練習会というイベント企画で、初参加の人がどの程度の事を身につけられるのかに不安があったからです。
過去 25年に亘って開催してきたイベント企画は、レッスンや講習会、走行練習会など、全てがカリキュラムや走行コースを決めて、全員でそれに合わせる内容ですから、初参加の人でも見よう見マネで結構こなせるものですが、自由練習会の企画ではそれが無いので心配があったのです。
それは、初参加の人だけではなく、常連で参加しているメンバーにとっても心配があったのです。
「 どういう風に接したら良いのだろう? 」
「 お客様扱いは出来ないし、教えて従ってもらう事も出来ない 」
初参加申込みの人は、約 30年のブランクの後のリターンライダーで 50歳代の男性。他の講習会への参加経験はあるが、GRAの企画にも賛同してもらっているようだ。
参加予定の常連参加者とは、そんな会話や情報交換をして当日を迎えましたが、ある意味で常連参加者の“意識”や“力量”が試される一日だったのです。
【 オートバイが先生 】
イベント当日、朝のミーティング、常連参加者から順に自己紹介と「やりたい事」を発表した後で、初参加の彼(以降、彼)から、私を含め常連者の“力量”を試す様な質問があったのです。
「 上手に走れないのですが、どう操作したらよいでしょうか? 」と。
普段のレッスンや講習会であれば、「 △△をこうしたらいいよ 」とか、直接的なヒントをアドバイスしているでしょうが、今日は自由練習会ですから、それでは少し違います。
私は言いました。
「 オートバイはあれこれと操作するものではありません。 」
「 あなたのオートバイが先生です。 」
「 色々な走り方をして、オートバイから教えてもらうのが一番ですよ。 」と。
講習会などで、姿勢や視線、ニーグリップや手の使い方など、事細かに指摘を受ける事に慣れている彼にとってみれば、「 ? ? ? 」大いに戸惑った事でしょう。
学校教育は勿論の事、会社でさえも指摘や指導を受け続け、それに従う事に慣れ、言われた通りに出来る程に高い評価が与えられる社会ばかりだから当然でしょう。
そんな、彼の「 ? ? ? 」は残したまま、参加者各自は各自のエリアに分かれて練習やセッティングに入ったのでした。
【 簡単なセクションこそ、最上の練習 】
練習に入ってからは、約 1時間毎に集合して休憩タイムを設けているだけで、全てが自由。
私も自己メニューに沿って練習に打ち込つつ、遠目で彼を見れば ・ ・、やっています、発表した通りに、8の字の練習を。
でも、パイロンのピッチ(間隔)が 約 8mと狭く、ブレーキも併用して、上体も操作しようとして力が入っている。
休憩タイムの後、彼の練習エリアへ近づいて、簡単なアドバイスを三つだけしました。
「 パイロンのピッチは 長く(13m 以上)してごらん 」
「 ブレーキを使わず、時には片手運転も試してごらん 」
「 サークル(回転)練習は大切な基本だから試しては 」
その後、遠くから観てもはっきりと判る程、彼のオートバイが自由に走り始めていました。
オートバイは、元々、直線やどんなターン(旋回)でも安定して走る様に作られているもの。
それを、人間(ライダー)が「操作しなくてはきちんと走らない」と誤解しているのが間違いの元です。
人間(ライダー)は、オートバイの仕組みや動き方を尊重して、可能な限り最小限の操作で乗るのがオートバイの能力を活かす事に繋がっているのです。
それは、馬に乗る場合も一緒だから、オートバイは馬に例えられているのです。
むやみに手綱(ハンドル)に力を入れたり、上体を動かしたりするのではなく、行きたい方向へ気持ち良く走ってもらう為に会話をするのがライディングなのです。
会話(コミュニケーション)を行なうには、短いピッチでのパイロン練習やブレーキを使うのはお勧めでありません。
長めのピッチで、ブレーキを使わず、簡単なセクションでの反復練習こそ、オートバイとの会話が深められるのです。
会話が出来るようになれば、自然にオートバイが教えてくれます。
「 そうそう、今の、良かったよ 」って。
【 タイムトライアル、意外な結果 】
一般の講習会に無くて、GRAにあるのが“ タイムトライアル ”、タイム測定です。
なぜ、“ タイムトライアル ”をするかと言えば、二つの理由があります。
一つは、とても楽しくエキサイティングで、日常生活では決して味わえない興奮があるから。
そして、二つ目は、一種の極限状態でのライディングこそ、そのライダーとオートバイの限界や実力がはっきりと出るからです。
その限界に近い領域でオートバイとの会話から、次の練習テーマやセッティングの方向性が確認できる他に、一般道を走行時の事故回避能力も自然に身に付くなど、とても大きな意義があるのです。
でも、彼にとってはどうでしょうか? 心配です。
講習会形式に慣れている人は、一般的に“タイムトライアル”を嫌がる人が多いからです。
丁度、小学校などで全クラスメイトの前で“跳び箱”をさせられる様な、バツの悪さを感じたりするのです。
全員が順に、2ヒートのタイムトライアルを行ない、(当然ですが)彼のタイム結果と常連者のタイムには大きな開きがつきました。
しかし、タイム測定後、彼が少し興奮気味に発した言葉は、
「 もっと、タイムトライアルがしたいです !! 」だったのです。
良かったぁ ~ 。
常連者の腕(レベル)は簡単に上達しないけど、彼は違います。
「 タイムトライアルの度に、常連者のタイムとの開きをパーセント(割合)で見ていけば、上達した量がパーセントではっきりと判るから楽しいですよ 」
最後に彼に贈った言葉、次回確かめてくれると嬉しいですね。
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