『 “第5波” が始まっています 』
グラフを見てわかる事は、感染拡大の動き・“第5波” が確実に迫っている事です。つまり、感染拡大の動きは、メディアが注目しがちな日毎の新規感染者数よりも、グラフの赤色線が示す「治療者数の増減数」の方が感染拡大の動きを示す事は実証されていて、その赤色線が既に右肩上がり(増加傾向)へ転じているからです。
この赤色線が示す[治療者数の増減数]は 、青色線が示す[新規感染者数の増減数]より2~3週間ほど先行して感染拡大の動きを知らせる事は実証済みで、6月初旬以降、2週間前から増加(右肩上がり)へと転じて、青色線の[新規感染者の増減数]も減少を止め、翌週からは増加へと転じる事を示しているのです。
『 “第5波” への対策が急務 』
新規感染者数が増加へと転じて、最大のピーク値へ達するまでの期間は、“第3波” と “第4波” の状況と同じとするならば、今から 10~12週後の 8月末から 9月初旬になると見込まれます。ただし、“第5波” の感染拡大の要因は インドで報告された変異株・“デルタ株” と予測されており、“第4波” の感染拡大の原因になったとされる 英国で報告された “アルファ株” よりも更に感染力が強力と各国で報告されているため、“第4波” 以上に感染拡大に備えた対策が欠かせません。
しかも、感染対策に最も有効な策とされるワクチン接種による感染抑制効果が期待できない事が判明しています。 それは、ワクチン接種率が世界でトップクラスの 英国やイスラエルで、主に若年層を中心に 急激な感染者数が増加しており、その為に改めてマスク着用義務や飲食店への規制などの行動規制を導入している事からも明らかです。
この事実は、英国やイスラエルでのワクチン接種率が 国民 100人あたり 110回以上を記録しているのに較べて、28回程度の低い接種回数(Our World in Data, 6月23日現在 )に留まっている日本であれば影響は大きく、しかも 現役世代を含めた若年層への接種は本格的に始まっていない 現段階であれば、尚更の事、最悪の事態を想定した対策を進めるべきです。
『 全国的なゲノム解析と 下水PCR検査の徹底が必要 』
国・行政は、日本を含む 世界 74ヶ国で “デルタ株” による感染が確認されていて、感染対策を徹底してワクチン接種率の高い国でさえ “デルタ株” による急激な感染拡大が報告されているという既知の事実を伏せたまま、「ワクチン接種は順調に進んでいる」と言い、「水際対策を徹底する」としていますが、既に日本国内に存在していて、その感染ルートさえ正確に掴めず、有効な対策を行なっていない様に見受けられます。
現段階で最も求められる対策の一つが、地域別に “デルタ株” による感染者割合を正確に把握する事でしょう。 変異株・“デルタ株” を確認するには、PCR検査を行なって陽性を確認した後、その検体を ゲノム解析する必要がありますが、全数をゲノム解析する必要は無く、統計の手法を用いて “デルタ株” など変異株による感染者割合を推定する事は可能です。そして、この ゲノム解析と統計的手法を 全国で統一的に採用する事によって、より正確に地域別に最適な対策が可能になるのですが、残念ながら、厚生労働省の資料を見る限り、検体数や感染割合の記述は無く、英国など他国での対応より 二歩遅れていると思われます。
そして、もう一つの有効な対策が 下水PCR検査です。 下水をPCR検査する方法では、一定の地域別に、感染症状が発症する以前の感染者を含めて、感染者の増減が正確に把握できます。しかし、全国の都道府県を対象にした統一的な下水PCR検査体制は整えていない為、感染症状が出た人が発熱外来を受診した後にならないと把握できないため、発症前段階での他者への感染拡大を未然に防ぐ事が難しいままなのです。
特に、“デルタ株” によると思われる感染拡大が起きている東京都と近隣三県では、少なくとも 都内23区 や 県庁所在地を中心に、下水PCR検査 と ゲノム解析 を徹底して、感染状況を統計的に正確に把握するべきです。
『 国民の命を、一人でも多く救うために 』
“第4波” による感染拡大の影響によって、大阪府と兵庫県では、医療機関での実質的な治療を受ける事が出来ず、自宅や施設内で亡くなった人が多く報告されています。
この悪夢を再発させない為に、“デルタ株” による “第5波” によって亡くなる人を一人でも減らすために、東京都を中心にして徹底的な対策と医療機関の準備が必要な事は明らかです。“第4波” による教訓を最大限活かし、世界各国での “デルタ株” による感染拡大状況を正確に把握して対策するならば、単に「安心・安全な大会運営をする」とした対策では不十分と思います。
“第5波” に備えた有効な具体的な対策を示さず、海外から数多くの人々を迎える五輪関係に医療従事者などの医療資源を割き、観戦を許可するなどの施策は、一人の国民の命を救う為の万全の対策を進めているとは決して言えません。
出典 : 厚生労働省
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