国内での感染状況は、一定の地域での感染確認が続いている事が目立っていますが、一か月以上も新規感染者が出ていない都道府県の方が圧倒的に多い状態が続いています。
その結果、残念ながら毎日の様に感染者の報告は続き、残念ながらニュージーランドの様に感染者が一月以上確認されない状態は遠い現状です。
ただ、最も警戒していた “第2波” の発生は確認されておらず、今後は 新規感染の発生状況に合わせて各都道府県別に独自の対応が求められ、全国一律で警戒宣言を出す状況でなくなっている事は明らかです。
『 退院率 と 患者数 』
前回、6月2日付けでの退院率は 86.92%で、一週間後の今回では 88.79 % と2ポイント近く上昇しています。
前回よりも 治療中の患者さんの人数が 300名以上減っていますので、本来であれば 90%以上の退院率を望みたい所ですが、今も 964名の方が病床で、その内、重症の方が約 1割を占め、ご本人とご家族の心境を考えれば、先ずは 日々少しずつでも回復される事を願うばかりです。
次回、この報告の際には、ICU 治療室から通常病床へ移り、少しでも多くの方が回復され、600名程度まで減っている事を願っています。
なお、5.4 % の致死率をさせず、最大の退院(回復者)率 94% 台の記録を待ちましょう。
『 地方行政の出番 』
表を確認して見えてくる事は、各都道府県毎に状況が異なり、全国一様な対処を進める事には大きな無理や矛盾が伴う事が分かります。
今回のウイルス禍の場合、感染症の特徴が最も表れている点が 人口密集地や密集環境で感染が広がっているという事です。その為、多くの感染者が報告された都道府県であっても、人口が密集していない地域では全く感染者の発生が無いという例はとても多いのが実情ですが、そんな無感染地域さえも全国一律に緊急事態宣言で 外出自粛が促され、営業自粛で経済的な損失を被っているのが今日迄の日本の現状です。
その上、全国一律で “新しい生活様式” を促し、外出時のマスク着用から密集防止を呼び掛ける事に大きな矛盾が発生する事になります。東京の新宿の路上を歩く時にはマスクが有効でしょうが、広い畑で一人仕事をする毎日を過ごす人までマスクは必要ありませんし、都会と郊外の農村部とでは同じ「密集」という言葉でも状況は全く違います。
そういう状況からも、全国一理で均質な対応を推薦するのではなく、各都道府県がその中の地域別にきめ細かく適切な対策や指導を行なう事が、このウイルス禍の根絶には必要である事がはっきりしています。
『 中央政府の役割 』
政府は様々な責任とリスクを専門家の人々の意見を参考に政策を立てている事は理解していますが、もはや中央から一律に同一政策、同一指導を行なう事には無理があるという事を自覚してもらう必要があります。それは、丁度 米国が 大統領の政策指導とは別に各州が自身の州の状況に合わせた政策を立てて進めているのと同じやり方です。
中央政府が行なうべき事は、将来的なリスクを想定して事前に対策を進めておく事です。
例えば、今年 1月には中国で 人口 1100万人の大都市を緊急封鎖する程のウイルス感染が発生したにも関わらず、日本に感染が伝わった場合に必要となる病床や医療資機材など医療体制の確認や確保を行なわず、海外からの渡航者を受け入れ続け、充分な検査体制の確保さえ出来ていない状況を指摘されながら 3月半ばまで 2020年のオリンピック開催に拘り続けたのは大きな誤りでした。
中央政府にはそれと同様な過ちを繰り返して欲しくないし、その過ちのリスクを多少でも避ける為に、各都道府県別に予算と権限を配分して独自の対策を行なう方向へと向かう分岐点が今だと思います。
出典 : 厚生労働省
#COVID-19
ページ中の画像は クリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています 文章等は許可無く転載することを禁じます / Copyright GRA All Rights Reserved. |