よく使われる言葉に「鉄馬」がある。オートバイを馬に例えて、オートバイに乗る楽しさは、まるで馬に乗っている時の楽しさと大変によく似ていると言われているのだ。「そんなんだ」と思いながらオートバイに乗っていると、不思議と馬に乗っている様な気分にもなった。でも、深く付き合う程に、オートバイは馬とは違うと思う様になった。
僕は、オートバイは 4本足ではなくて 2本足だと思っている。人間と同じ様に 2本脚で、前に出した脚が前輪で、後の足が後輪だと考えると、タイヤ、つまり足裏のグリップを感じながら、滑らない様に進む感覚がよく理解できるのだ。
それだけではない。前輪と後輪の荷重配分を感じる感覚や、加速や減速で体重(車重)以上の荷重が足裏(タイヤ接地面)に与えられる事も簡単に説明がつくのだ。
それに、前後に足を開いたまま左右どちらかに身体を傾け時、人はバランスを取る為に前足を傾けた側にずらすけど、それはオートバイの前輪が自動的に切れる仕組み(キャスターアクション)と同じなのだ。
そういう訳で、僕はオートバイは馬ではなく人間と同じだと思っているし、そう思う事でオートバイの事も深く理解できるし、適切な操作や整備に繋がっていると信じている。だから、実際に馬にも乗って楽しんでいる人には勧めないけど、是非、オートバイは 2本足だと思って付き合って欲しいと思っている。 間違いなく、馬よりも身近に感じられるからだ。
NPO法人GRA代表 小林 裕之
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