新型コロナウイルスによって受ける影響は、都道府県によって人口や感染密度が異なる為、単純に感染した人の人数を比較してみても実感とは異なります。そこで、都道府県別に、新型コロナウイルス禍に 新たに感染した人の人数 と 前週と比較した増加率、そして 都道府県の人口あたりの増加した感染者数割合などを一覧表にまとめています。特に 被害と影響が悪い箇所は黄色で欄を塗り、良い結果を出している箇所は薄いピンク色で欄を塗って識別しています。
都道府県別の感染被害を人口対比や週間対比で示した一覧表を見れば、色分けした欄で見れば明らかですが、政府が進めている 関東圏とか、関西圏など大型都市圏に特化した対応では、メディアも注目されない都道府県などで数多くの被害者が生まれ続ける危険性が見えるでしょう。
『 感染密度 』
【 感染密度 】とは、人口あたりの新規感染者数を示しています。各都道府県によって人口は大きく異なりますので、単に新規感染者だけを比較して被害レベルとしてメディアが扱う事は誤解を与えます。人口あたりの新規感染者数を較べる事で、ようやく、その地で住む人々の危険レベルが比較できる上に、それに対応した対策を施す事が可能になります。ただ、本来ならば、住民一人当たりの医療レベルは都道府県を問わず一定に保たれるべきですが、残念ながら、都道府県によって大きく異なります。その為、【 感染密度 】とその地域の医療状況を併せて検討する事が必須です。
大型連休の後、人々の移動によって感染地域が広がる感染症の特徴そのままに、【 感染密度 】がそれまではさほど大きな感染に至っていなかった地域で感染拡大が発生している事を示しています。
大阪府が最も高い【感染密度】を示して感染被害が大きい事を示していますが、それ以上に、福岡県の 【 感染密度 】が高く、それ以前に大きな拡大を見せていなかった地域だけに、緊急事態宣言の要請をした必然性がはっきり出ています。同様に、北海道や岡山県、愛知県や沖縄県でも楽観を許さない状況が続いている事を示しています。そして、前週までは、宮城県など 東北地方で “ ゲリラ豪雨 ” 的な感染拡大を見せていた傾向は収まり、今やそれまでは優良地域と見做されていた九州全県が感染非常地域となっている事も明らかです。
『 重症者割合 』
感染した本人と家族にとって “ 重症者 ” になる事は重大事ですし、医療機関にとっても “ 重症者 ” への対処が最大の懸案事項であり、死亡に繋がる深刻な状況ですから、単に重症者数だけでなく、重症者の割合を見る必要があります。
この『 重症者割合 』の増減傾向を見れば、現在、重症者の増加で医療機関などが最も深刻な場面に直面しているのは 長崎県です。 人口あたりの重症者数の増加度が高いだけでなく、新規感染者に占める重症者の割合が他県よりも格段に高い事から、現場の困難さが推察されます。同様に、福岡県と熊本県も高い事から 九州全般に深刻な感染被害が広がっている事が推察され、石川県と群馬県でもそれに近い場面に直面していると推察できます。
同時に、重症者の急増で医療体制が危機的な状況になっていた 大阪府や兵庫県などの傾向が変わり、深刻だった地域の重症者が減少傾向を示している事も分かります。 この傾向は、一見では良い報せにも思えますが、一方では重症になった方が亡くなった結果が含まれている事を考慮する必要があり、簡単には喜べない点です。
感染症の特性上、人口密集地域での拡大が起こり易く、新規感染者数の多さと取材の容易さから 東京都や大阪府などの深刻な状況ばかりの報道へとメディアは偏りがちですが、実際には全国各地で危険な状況が起きている事を忘れてはいけません。
どうか、一人でも命や健康を損なう事がないように、また医療や介護に携わる方々の負担が過度にならないように、実際の感染状況と感染症の特性を理解して、相互に思いやりと啓発の関係を築きたいものです。
出典 : 厚生労働省
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